こんなところに前方後円墳が-薬師岩屋古墳

所在地:蒲生郡竜王町薬師

 前方後円墳のイメージといえば、最近世界遺産登録を目指している大阪府「古市・百舌鳥古墳群」を代表する古墳-全長482mを誇る大仙陵古墳(伝仁徳天皇陵)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。平面形が「鍵穴」形で、小山のような墳丘、墳丘のまわりにめぐる水を湛えた濠、これが古墳の代表格、教科書にも登場する『前方後円墳』の姿に違いありません。
 しかし、皆さんがイメージするこのような『前方後円墳』は、全国どこにでもあるわけではありません。でも、いわゆる『前方後円墳』とよばれる古墳は、意外と身近に存在していたりします。ただし、大きさは比べるのが失礼なサイズですが・・・。たとえば草津市にある南笠古墳群の1・2号墳の場合、全長は30m前後ですし、竜王町岩屋古墳から東に約8㎞程のところにある東近江市八幡社46号墳も全長24mと、非常にコンパクトなサイズです。 

おすすめポイント

 岩屋古墳も全長36mと、負けず劣らずコンパクトな『前方後円墳』です。この古墳は竜王町薬師にあり、全長36m・後円部径19m・前方部幅23m・墳丘の高さ約4mの規模で、後円部に横穴式石室がつくられています。
 この岩屋古墳、石室内に不動尊が祀られており、「岩屋のお不動さん」として信仰の対象となっています。石室は、遺体を納めていた部屋(玄室:長さ5.4m・幅1.95~2.5m・高さ2.4m)と、その部屋に出入りする通路(羨道)から構成されています。ただ残念なことに、羨道部分は大半が崩壊してしまっています。
 古墳の時期ですが、出土遺物が無いため確実なことは言えませんが、石室の形態などからみて6世紀中頃であると考えられています。

 おすすめのポイントは、気軽にいける『前方後円墳』であることでしょうか。現在も石室内に安置してある不動尊が信仰の対象であることもあり、石室に階段で近づくことができますし、周りもきれいにしてありますので、墳丘上にも登ることができます。ブッシュの中をかき分けて、カマドウマ(俗称便所コウロギ)がいる石室の中を這っていかなくては見ることができないということはありません。
 そして、この岩屋古墳がある場所が、竜王アウトレットモールのすぐ近所なのです。なかなか古墳見学+ショッピングという方はいらっしゃらないとは思いますが(笑)、アウトレットでの買い物ついでに古墳見学などいかがでしょうか。

アクセス

【公共交通機関】JRびわこ線野洲駅・近江八幡駅下車、三井アウトレットパーク滋賀竜王行30分、三井アウトレットパーク滋賀竜王下車徒歩15分
【自家用車】名神高速道路竜王IC下車、国道477号を約3分東へ、駐車場所あり。

公益財団法人滋賀県文化財保護協会提供